即興を恐れない! 話せる生徒を育てる3つのポイント
新学習指導要領で、「話すこと」が「やりとり」と「発表」に分けられました。原稿を書いて、発表をする!という活動はよく行ってきましたが、「やりとり」の力を育てるにはどうすればいいか、迷っている方も多いと思います。
準備なしで、生徒は話すのか?大人だって話したがらないじゃないか。
では、どうして準備がなければ話せないのでしょう?
それはもちろん、「なんて言ったらいいかわからない」からです。なんて言ったらいいかわかっていれば、恥ずかしくもないし、どんどん話せるはず。
生徒に「恥ずかしがるな!」「日本語を使うな!」と言うだけではなく、生徒の不安を解消してあげることが先生の役目です。
さあ明日から始めましょう。たった3つのポイントで、生徒は驚くほど話すようになります。
2.同じ活動でも、相手を変えて何度も行う!
3.活動の途中で中間評価をする!
1つの文法にこだわりすぎない! 「2文キャンペーン」!
例えば、不定詞の学習のまとめとしてWhich country do you want to go?をやるとします。目標は、I want to go to Italy to eat pizza. などのように、副詞的用法と名詞的用法を組み合わせて行きたい国を話すことですが、
これで終わらないことがポイントです!
名づけて「2文キャンペーン」。上の文にもう一文付け加えて答えよう!と指示するのです。
何を付け加えたら良いのでしょう?
ここで、既習事項を想起し、場面に応じた言語材料を選択して表現するという、英語の見方・考え方を働かせるのです。
「どの文法を使いなさい」とは指示しません。想定される「プラスアルファ」は、
I like cheese and tomatoes.
I want to eat the real pizza.
などです。I like ~ なら、小学校外国語活動で耳にタコができるほどやってきているので、どんな生徒でも絶対に言えます。
最初は、このレベルからスタートします。
「to不定詞にこだわらず、今まで習ったことを使って何かもう一文言ってみる」
これが重要です。
同じ活動でも、相手を変えて何度も行う!
自然に口から出るようにするには、繰り返しが特に重要です。伝える内容が同じでも、相手が違えば、伝える意味が生じます。ペアをくるくると変えて何度も話す活動をし、正しい表現を自分のものにできるようにします。
オススメの方法は「回転寿司スタイル」
大体ペア活動では横のペアと話すと思いますが、その横のペアをずらしていくだけです。一方がお客さんになって寿司を待ち、もう一方が寿司となり一つ前の席にずれていきます。
縦でも横でも使えるのでオススメです。
でも、話せない生徒はずーっと話せないままですよね。(気の利く生徒なら、「あ!この人が使ってる表現使おう!」となりますが、苦手な生徒ほど「この人何言ってるのかわかんない。つまらない」となってしまいます。)
そこで大切なのが次の「中間評価」です!
活動の途中で中間評価をする!
ずっと活動を続けていると、飽きてきてしまいますし、進歩がないまま時間だけが過ぎてしまいます。
それを防ぐために、活動の途中で「一旦座ってください」と指示します。
そして、
「この人のこんな表現、いいよね!」
「こう言いたいときは、こういう表現を使うといいよ!」
「こんなときは、なんて言えばいいのかな?」
と中間評価をします!
いいな!と思った生徒と対話を実際にするのも効果的です。英語が得意な生徒を活躍させましょう。
生徒は思いもよらないgoodな表現を使ったりしてきます。
細かい表現が違ったら、「こうすると正しいよ」と全体で共有します。なので、間違っていても何の問題もないのです。
1分くらい中間評価をしたら、もう一度同じ活動をします。
すると、今まで話せなかった生徒も
「これを使えばいいんだな」
と少しわかってくるのです。
初めはノーヒントでスタートし、言えなくてもOK
先生はつい、生徒が失敗しないように事前にたくさんのヒントを与えがちです。
私もそうでした。でも、最近考え方が変わってきました。
生徒の中には多かれ少なかれ、何かしらの表現があります。眠っているのです。
そんな可能性を信じましょう。そして「得意な生徒」を活躍させながら、少しずつその「得意な生徒」を増やしていくのです。
言えない=表現を増やすチャンスです。「こう言いたいんだけど・・・」という生徒のつぶやきを逃さず、全体で共有し、言えるようになった!という達成感を感じることができるようにします。
言えないことを、怖がらないことが大切です。
もう一つ。
生徒の「話したい」「伝えたい」という思いを大切にすることです。習っていなくても、becauseもifも教えちゃいます。今年、授業で扱う前にbecauseを使って話す活動をしたところ、ある生徒が
「becauseは理由を伝えるのに便利だとわかった」
と書いていました。「こんなときに、これが使えるな!」と考えを働かせるのが、英語の「見方・考え方」だと理解しています。この生徒はまさにそれに気づくことができました。
継続すれば必ず力はつきます。そして、話せるようになれば書けるようになります。
こうして話せるようになってきたら、「まとまりのある英文を書く」活動とリンクさせながら、書く力も同時に鍛えていきましょう。