良い先生?定義はいろいろですが私は「安心」「成長」がキーワードと考えます
学校が安心できて、生徒が成長できること。これを意識してきました。
- おせっかいせよ
- でも子どもの世界を大切に
- 席替えと日直は思ってる100倍大事
- ほめよ。とにかくほめよ
- 見通しと道筋を適切に示す~ちょっとだけ高いレベルのものを
- 適材適所~ちょっとだけ高いレベルのものを
- あいさつ+ひとこと
- どうでもいい内容でも自己開示~しくじり先生
- 一人の人として、こっちが相談してもいい
- 絶対に許さないことには毅然とする
最初は失敗ばかりでしたが、生徒と良好な関係を築けるようになってきたなと感じたのは以下のようなことを意識し始めてからです。
1.おせっかいせよ
生徒の顔色が暗かったり、あいさつにいつもの元気がなかったり・・・。常に一緒にいると、いつもと違う様子に気がつくものです。
そんな時、
「先生が声をかけたらうざいかな・・・。」
「気のせいかもしれないしな・・・。」
など考えず、素直に思ったことを伝えましょう!
セリフは
「どうしたの?なんか元気ないように見えたんだけど。」
です。叱責する目的ではありませんので、「声が小さいね」などは避けましょう。目的は、「先生は心配している。気にかけている。相談があったらいつでも言っていいんだよ。」ということを伝えることです。
気のせいだったら、それはそれでいいのです。
「気のせいかな?ならよかった。今日も一日がんばろう★」
でOKです。
そのときは「何でもありません大丈夫です。」
という子も、後でアンケートに本音を書いたり、「昨日怒られて・・・」などと話してくれることもあります。
「いつでも相談していいんだ。」「先生はわかってくれているな。」
という安心感を周りの大人が与えることが大切です。
2.でも子どもの世界を大切に
しかし、何でもかんでも先生に言う必要はないと思います。
生徒には生徒の事情があり、大人が入るべきではない世界があります。
「言わない」という選択を取った、生徒自身の判断を信じましょう。
「言わない」裏には、「言えない」「言うほどではない」「言いたくない」などいろいろな背景があると思いますが、総合的に「言わない」判断をしたのです。
しかし、明らかに問題を抱えていそうな時には、こんな風に言う時もあります。
「自分で解決できそうなことなのかな?なら、こういう風にしてみたら。」
→自力解決への道筋を示してあげる
「少し様子を見てみようか。」
→数日置く。その間、ほかの先生方にも報告し観察してもらう。自分も観察。
数日後もう一度面談。第三者から見た様子を伝え、実際どうなのか(解決?悪化?大人の介入が必要?)を聞く。
また、トラブルや悩みでなくても、なんでも先生が入り込む必要はないのかなと思います。先輩の先生でこの言葉が心に残っています。
「休み時間に私が教室にいても、何も気にせず遊んで欲しい。そういう学級が理想。」
先生は生徒の遊びに入り込むでもなく、話すでもなく、ただ教卓で作業をします。
いじわるなことや危険がないか、友達グループなどには注意を払っておきますが、何を話すか、誰といるかは子どもたちの世界のルールがあり、自由でしかるべきです。
子どもの世界を大切にできる大人でありたいと思います。
しかし、絶対に許せないことには毅然と対応します。詳しくは後述10番で!
3.席替えと日直は思っている100倍大事
私は結構あっさりとした性格で、誰がどこにいようが、後ろだろうが前だろうが、同じ空間にいるのだからやることは変わらんやろ精神でした。
しかし、生徒にとって「席替え」は一大イベント!
行事なんかよりも大切かもしれません。
この価値観の差をしっかりと理解しておくべきです。
席替えの方法はいろいろあると思いますが、適当にしないことです。
席一つで毎日が輝いたりするし、その逆もあります。
余談ですが私はこの席替えの方法や実際席を考えるのに2~3時間かかります笑
本当に頭と心をフル活用しないと考えられないので、苦手でした。
もう一つ、「日直。」
よく「あ~今日日直だ~↓」
という声を聞きますね。
私からしたら、(※私が担任だったときは)授業のあいさつもない(毎日委員長がする)し、電気・窓・黒板の管理もない(通年で係がやる)し、日誌はイラストを書くだけだったので、仕事といえば朝の会と帰りの会の司会のみでした。
しかも決まったセリフを読むだけ・・・。(スピーチや目標などは別で担当がいるので)
でも、それでも彼らにとっては大仕事なのです。
いろいろな配慮をするときに、「たかが日直」と思ってはいけないなとあらためて認識しました。
個人的には、日直よりも授業の方がずっと大切だと思うので、日直が負担にならないようにしたいものです。
なので日誌もイラスト笑
日誌の目的は、①欠席生徒にどんな一日だったか伝える ②担任不在や教育実習生などのときに、どんな一日だったか伝える ためです。文章の力や責任感などはあまり重視しないスタイルでした。
4.ほめよ。とにかくほめよ
叱るときは2褒めて1叱れ と言われたことがあります。
そのくらい、普段の褒めはと~っても大切です。
最近の生徒は自己肯定感が低い傾向にあり、自分って何やってもだめだな・・・と思う生徒が多いと確かに感じます。
一章の「おせっかい」と同じで、このくらい褒めてもみんな当たり前にやっているし。。。などと思わず、その生徒が頑張ったと思ったら言葉で本人に伝えましょう。
時には学級のみんなにも紹介しましょう。
すると「あ、こういう行動が《いい》んだな」と、ほかの生徒の心にも染み込んでいきます。
給食・掃除・係活動は褒めるチャンスです!
褒める言葉は「ありがとう」がいいですね。
当たり前のことでも、こうしてやってくれる人がいるから、集団生活が成立するのです。
その感謝の気持ちを、担任が一番持たなくてはなりません。
担任がそのようなスタンスであれば、いつしか学級にも広がり、進んで働く生徒が増えていきます。
そして、Webメディアオモコロさんのこの漫画をご紹介させてください。
先生の一言が、そのあとの人生の「たまに取り出せる褒め」になっていつまでも輝き続けたらいいなと思います♪
5.見通しと道筋を適切に示す
★Special Thanks to Ms. K, Ms. I, Ms, K
目的と手順、ゴールを一緒に考えて余裕のあるスケジュールを組んであげること!
例えば、学年集会の司会を頼むとします。いつ、どのように頼むか?
私は、一週間以上前にするべきだと思います。
生徒は宿題に部活に忙しい!それは大人と同じです。ですので、例えば来週の水曜日が集会だとしたら、前週の月曜日には頼みたいものです。
プリントを渡して、セリフや担当を書き込めるようにしておきます。
初めは、丁寧にサポートします。
最初から最後まで先生と一緒にします。
集会の流れもこちらで考えておき、セリフをその場で考えさせます。
また、大体は集会の中に企画を入れたりしますよね。スピーチや委員会からの連絡、ちょっとしたレクなど。先生のお話もあります。
そうすると、司会の生徒たちはさらに「依頼」をしなければなりません。
誰がいつ誰にのようにオファーするかまで、しっかりと決めます。そしてオファーが終わったら報告させます。(そうしないとだいたい生徒は「まだいいや」と思って、集会の前日にオファーします。依頼された側に準備の時間が無く、焦らせることになったりしますよね。)
報告がない場合は、声を掛けます。セリフ「○○さんにスピーチのお願いした?」
リハーサルの日取りは前日でいいですね。全校集会など、大きなイベントになると、前日では修正の時間が足りないため、3日前くらいのリハーサルにしましょう。
そして本番。だいたい失敗しますが、それでOKです。
振り返り、どんな準備が次は必要か考えさせ、記録させます。
この方法で数回行ったら、あとは自立です。
セリフ「次の集会は○月○日だから、ここに必要な情報を書き込んで、準備進めてね。」
と、集会が終わったらすぐ次の集会のことを伝えます。
段取りがわかっているので、生徒たちは休み時間などを使って自分たちで考え始めます。
生徒に余裕をもたせるためには、先生自身が見通しを持っていなければなりません。
あらかじめ、「○月の集会は□日と★日で、場所はここで、時間はここ」ということを周りの先生に相談報告しておきましょう。
また、見通しを持つことは行事だけではありません。
例えば私は、通常2週間前に発表されるテスト範囲を、一か月前に知らせていました。
授業の進度によって多少ずれることはありますが、現段階のものを伝えておきます。
そうすると、ワークを早めに進めたりすることができ、テスト直前にワークに追われることも少なくなります。(そこまでできる生徒は少数ですが・・・その少数に届くだけでも大きい。)
定期テストに関しては、ワークのここからたくさん出すからね!など、ぎりぎりのネタバレもたくさんしました。完成済みのテスト解答用紙を見せたこともあります。(あまり意味はないけれどなぜか盛り上がる生徒たち・・・)
それで勉強のやる気が出て、対策してくれるのならば、安いものです!
6.適材適所~ちょっとだけ高いレベルのものを
非公式の仕事をふるときは、得意な人に得意なこと。苦手な人には無理にやらせない。
(非公式の仕事・・・係などの役割が特にあたっていない仕事・行事的な仕事・突発的な仕事)
生徒の得意を生かしてみんなに知ってもらいたいものです。
授業だけではわからない、生徒の才能を発揮できる場を作りましょう。
これには、先生のおせっかいが大切になってきます。なぜなら、自分からアピールしてくる生徒は少ないからです。自慢に見えるので。
なので、デザイン性が必要なものは絵が得意な生徒にオファーします。
セリフ「今度これ書こうと思っているんだけど、ここのデザインやってくれないかな?」
また、パソコンが得意な生徒には、パソコンを使うときに真っ先に頼りにします。
セリフ「○○さん、この操作お願いしていい?」
苦手な人に、得意になってもらいたいからと無理やりお願いするのは×です。たとえば話すのが苦手な生徒にスピーチなど。生徒にとって過度なプレッシャーになってしまってはなりません。レベルを見極めて、「ちょっとだけレベルの高い」「でもきっとできるだろう」というところで、成功したら、とっても嬉しい気持ちになると思います。
7.あいさつ+ひとこと
★Special Thanks to Mr. K
一日最低一言でも全員と話しましょう、とよく言いますよね。私もそうしたかったのですが、結構難しかったです。
これは実際あまり実践できませんでしたが、やればよかった~というもの!
あいさつをしたらちょっと話す。昨日の授業のことでもいい。技能教科の話題がおすすめ(何作ってるの?など)
大人でも、どうでもいいことでも話しかけてもらえると、存在を認めてもらえるような気がします。
子供ならなおさらです。
結構聞いてもらいたい生徒も多く、話が盛り上がったりしますよ!
8.どうでもいい内容でも自己開示~しくじり先生
先生の失敗談は生徒の大好物。よく聞いてくれます。もちろん意図をもって話しましょう。
学級担任の先生になると、意外と「語る時間」が多いことに気が付きます。
朝の会、帰りの会、学級活動、道徳、ちょっとした待機時間・・・。
そんなときに、先生の「うまくいった話」もいいですが、「失敗した話」もいいのではないでしょうか。
私はよく、小学校の時に物を壊してしまってきちんと謝れず、強がってしまった話をしました。
あとは、ライバルにぼろ負けしてしまった話。整理整頓が全然できない話。
よくない言動を賛美したり助長したりするような語り口はよくないですが、生徒が「先生でも失敗することはあるんだな。」「こうならないようにしよう。」と思ってくれたらうれしいですね。
恩師のH先生は、「自分も緊張して、いまだにPTAでも緊張して、マイクを持つ手が震える」と言っていました。
面白い先生だったので、びっくりしたことを覚えています。中学生の時に聞いて未だに覚えているくらいなので、とても意外だったのでしょう。
でも、発表を控えていた自分は勇気をもらえました。H先生ありがとう。
9.一人の人として、こっちが相談してもいい
先生が居心地のいい環境を作らないと!
そう思って結構暴走したときがありました。
ルールを決め、掲示を作り、毎朝と帰りで評価して。
ちょっとワンマンすぎたかなと反省しいました。先生は学級の主役ではないのです。主役は生徒。
そこで、生徒の意見をこまめに聞くようにしました。全員に聞くのが難しいときには、学級委員長と副委員長に。担当の生徒がいれば、その生徒に。
「これとこれ迷っているんだよね~」など、素直に生徒に相談しちゃいます。学級会の進め方や掲示など。生徒のほうが生徒をよく知っているし、いいアイデアをくれます。
また、全部丸投げするのではなく、択一にします。そうすると、生徒の決定が学級に反映され、より自分で決定したのだという気持ちが高まります。
私は中学1・2年生を持つことが多かったのですが、30歳が13歳に相談したっていいと思います。先生は必ずしも教える側ではないときもあります。そういう人間らしさの開示も、信頼関係に結びつきます。
部活でもそうですね。メニューについて、キャプテンに何やりたいか相談したり、どんな目標にするか相談したりたくさんしました。部活動ではとくに自己決定が大切になると思います。一人一人の意見やモチベーションが違って大変なときもありますが、先生がすべて決めるよりはいい決定になることが多かったです。
10.絶対に許さないことには毅然とする
「この先生、どこで怒るかわからない。」これは絶対ダメ。芯がブレブレ。生徒も先生の顔色をうかがうようになる。
私は「命とお金」をないがしろにしたときは厳しく叱ります。
命、には、他人を傷つける行為も含まれています。いじめを許さない態度です。
お金、とは、お金そのものより、お金で手に入る「もの」を大切にすることがメインです。
人のものを勝手に使わないこと。公共の場を大切に扱うこと。プリントをきれいに保管すること。
「私はお金と命に関しては厳しいです。」とはっきり宣言しました。そして、ことあるごとに言い続けています。
色々な問題が日々起こるわけですが、その時に何度も聞くことで、「あ、この先生の口癖はこれか」としか思っていなかった生徒も、だんだん「この先生は命とものを大切にしてくれる」「自分も大切にしなければならない」と思ってくれると信じています。